入院した義母の部屋に、「家の塗り替えをしておいて」と置き手紙があった。
旦那、「どうして見付けるんだよ!バカだな」
私、「お義母さんの御見舞に行ったら、部屋の換気を頼まれたからよ」
旦那、「家の塗り替えのことで、おふくろ、何か言ってた?」
私、「何も聞いてない。置き手紙と一緒に封筒があったわよ」
旦那、「それを早く言えよ」
旦那に封筒を渡すと
旦那、「100万か」
私、「150万円、入ってるでしょ」
旦那、「なんだ、数えてたのか」
私がお金を数えてなければ、旦那は50万円をネコババしただろう。

旦那、「150万あるなら、家の塗り替えは出来るよな?」
私、「出来ると思うけど、どうして入院中に家の塗り替えを私達にやらせるのだろう?」
旦那、「家に居る時だと、塗り替えを行う業者さんが出入りするから煩わしいんだよ」
私、「それだけの理由かしら」
旦那、「考え過ぎだよ」

ネットで家の塗り替えを調べていると
娘、「家の塗り替えをしちゃうの?」
私、「イヤなの?」
娘、「お婆ちゃんは怒らない?」
私、「どうして、お婆ちゃんが怒ると思うの?」
娘、「家を塗り替えたら、お爺ちゃんの思い出が無くなるじゃない」
私、「お爺ちゃんの思い出は記憶に残るでしょ」

業者さんによる家の塗り替えをしている間、義父と義母に懐いていた犬の元気がなかった。
家の塗り替えが終わると、一時退院で義母が家に戻って来たのだが、夕方には病院に戻った。

仕事から帰って来た旦那、「塗り替えられた家を見て、おふくろ、何か言ってた?」
私、「何も言ってない」
旦那、「家の塗り替えに気付かないほど、おふくろ、ボケたのかな?」

認知機能が低下した義母は、家の塗り替えに気付かないだけでなく、義父のことさえ忘れているようだった。